| 聖なる日
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12月というのは、何に置いても総決算の月である。クリスマスや年越しもあるから、テレビ の内容もいつになく華やかだ。そんな中、いつもよりも目立っているのは歌番組であろう。 特に12月も後半となると特番が多くなり、大して見たいと思わなくても釣られるかのように 見てしまうものだ。 「今日はいいのやってねぇなぁ」 お笑い芸人が出ていたから、とりあえず回していたチャンネルだったが、思ったより面白く ない。「つまんねぇ」と言うと、直江が合点がいったように言った。 「年末だから、特番が多いんですね」 「歌番でもいいか?」 「私は何でもいいですよ」 直江がそう言ってきたから、高耶は歌番組にチャンネルを回した。 毎日忙しくしているから、最新のヒットチャートなんか全然わからない。たまに聞いた事 がある曲がかかったが、心に響くものではなかった。それは直江も同じだったらしく、 ふと目を上げた直江がこう言ってきた。 「随分、楽曲も変わりましたねぇ」 「おまえ、歌なんて興味あんの?」 「興味という程でもないですが、昔はこんな歌なんて一曲もなかった」 「……まぁ、確かに。時代は変わったよ」 戦国の世から生き続けている二人だ。その長い人生の中で、革命ともとれる出来事を 幾度となく経験してきた。 「最近はこう、恋愛に関する歌が多いんですね」 しみじみと言う直江に、高耶は思わずプッと吹き出した。 「ぶぁっはは! 何言ってんだよ、バカっ。……おまえさぁ、そういう言い方ってマズイと 思うぞ。すっげぇ古い人みてぇ」 そう言ってアハハと笑う高耶に、直江は気分を害した。 「酷いですね。あなただって、生きてきた年数は殆ど同じでしょう」 「けどオレには柔軟性があっから。誰かさんみたく頭堅くないの」 「柔軟性………。確かに。男性の割には体が曲がりますよね」 「おう。曲がるぜ……って、何の話だ!」 「決まってるでしょう」 直江は声のトーンを落とすと、高耶の顎に手をかけた。 「私の前で惜しげもなく恥ずかしい格好をするあなたは、凄く素敵ですよ」 そう言って唇を寄せようとした直江の顔を、高耶は手の平でグイと押しやった。 「言ってろ。馬鹿」 「……あなたも大人になりましたねぇ」 ニヤニヤと締まりのない顔で言う直江に、高耶はギッと目を鋭くした。 「なんだよ、急に」 「このテの話をしても照れないだなんて、あなたも大人になったなぁと」 「誰がそうさせたんだよッ」 「私です」 直江はにっこりと笑うと、高耶の手を引いて自分が座っているソファへと導いた。 「おい、なんだよー」 まだ早いぞと言う高耶を抱き込んで、額にキスを落とす。 「今日は凄く甘えたい気分なんです。側にいて下さい」 「それってイブだから? おまえ、坊主だろうが」 ズケズケと言い返す高耶に、さすがに直江はカチンときたらしい。 直江は憮然とすると、 「…いちいちうるさい口ですね。どうして人が甘い雰囲気に持っていこうとしているのに、 あなたはそう反発するんですかっ」 「なっ…!」 「いいから私の側にいなさい」 そう言い切ると、直江は高耶の腰に手を回した。高耶は離せというように藻掻いてみせ たが、そこで離したら直江じゃない。 直江の腕に覆われた事によって、背中が暖かい。すぐ側に男の呼吸を感じてドキリと する。少し目を上げると、男の端正な横顔が目に入る。ドキッと心臓が跳ねたら最後。 高耶は直江を意識せずにいられない。回された手の平が当たっている部分がやけに 熱い気がして、高耶は身じろいだ。 「直江。……直江っ」 直江はもう、高耶の言葉に耳を貸さない。それにムゥ、と唇を尖らせた高耶だが、抵抗 しても疲れるだけだ。仕方なく直江が満足するまで「抱かれて」やる事にした。 「……楽しいかよ」 「ええ、とても。でも、こうしたらもっと楽しいですね」 言うが早いか、直江の手が高耶のジーンズに潜り込む。いきなりの事に高耶はビクッと 体を揺らした。 「ワッ! バカ! ざけんなっ」 直江は高耶の尻を撫で回しながら、 「どうせテレビなんて見てないんでしょう。このまま、ね?」 「ね? じゃねぇ! 離せっ」 「そんな事言って、ココ、弄って欲しいんじゃないですか?」 直江はそう言うと、潜り込ませた手を高耶の窪みに滑らせた。キケンな所に男の指を 感じて、高耶は焦った。 「バババババカっ! いい加減に……」 「高耶さん……」 直江が高耶のやわい肉を噛んだ。耳たぶを温かな口に含まれた高耶が、感じてギュッ と拳を握った。 「あなたのココ、立ってる」 いつの間にか衣服の下に潜り込んだ左手が、高耶の胸元を撫でている。尖った赤い実 をキュッと摘まれて、高耶は小さく喘いだ。 「コラッ! 直江ッ。よせって」 「やめてもいいの? 本当に?」 耳の中に舌を入れながら囁く直江に、高耶がビクビクと体を跳ねさせた。 「く…そ…! ハンパしたら、ゆるさねぇ…からなっ!」 「任せて下さい」 直江はにっこりと微笑むと、誓いのように高耶にキスした。 「ア、んっ! アァァァ……!」 綺麗に胸を反らした高耶が、先端から精液を弾き飛ばした。口内に迸しったそれを、直江 一滴残らず飲み干す。ざらりとした舌の感触が伝わるのか、高耶の内股がピク、と震えた。 「ん、ふ……」 喘ぎを隠すかのように、握った拳が口元に寄せられる。その手を強引に奪い取って、高耶 の口にキスをした。 「……ん」 肩から剥かれた衣服が、腕に絡まっている。胸元だけを暴かれた格好で、高耶は直江の 愛撫を受けていた。 「高耶さん」 直江は高耶の隣に腰を降ろすと、右手を臀部へと滑らせた。ジーンズは、フェラをする前に 脱がせていた。形の良い尻を掴み込んで、その先の窪みへと指を差し込む。先ほどと違っ て、そこは少し湿っていた。 「あ…」 「高耶さん…」 「アァ……!」 指を入れると、高耶の体に力が入ったのがわかった。少し可哀想な気もしたが、直江は そのままグイッと指を入れた。 「んぅ…!」 高耶が縋るように首に腕を巻き付けてきた。直江は左手で高耶の背を撫でながら、右手 を妖しく動かした。 「ハ、ァ……、ハァッ!」 締め付ける穴を、一本の指で穿る。頃合いをみて3本に増やすと、明らかに高耶の顔に 艶が出てきた。 「気持ちいいの?」 問いかけると、高耶の顔に朱が上った。直江の太股に当たる、彼の性器。後ろだけで高 まっているのは、もはや隠せない事実だった。 「高耶さん。上に乗って」 高耶から指を抜いて、抱き上げる。未だ衣服を着たままの直江に跨がせ、くたっともたれ 掛かる高耶の手を取った。 「高耶さん、ほら。これ掴んで」 直江はスラックスのファスナーを、高耶に下ろさせようとしている。気がついた高耶が反発 を込めた眼差しで直江を睨んだが、そうしているうちにも体を蝕む熱は大きくなるばかりだ。 「…う……クソッ」 「早く入れて欲しいんでしょう? ココ」 直江が両の手を後ろに回し、抱き込んでいる高耶の尻を両側から割り開いた。 「!」 「ヒクヒクしてますね」 伸ばした中指で入り口を突っつく。ビクッと体を揺らした高耶の前から、白いものが滲み 出た。 「ほら、早くしないと」 直江の悪魔の促しに、呪いたくなる。しかし、ここまで来たら最早、それしか道は残され ていない。高耶は仕方なく直江のファスナーを下ろした。 「そう…。そうしたら俺のを出して」 「…っ!」 またも屈辱的な命令をする直江に、高耶は怒りを覚えた。だから、わざとそれをむんずと 引きずり出すと、先端の敏感な場所に爪を立ててやった。 「…っ! ……やって、…くれましたね」 不覚にも出してしまった直江は苦笑いをすると、高耶を抱き上げてそれが高耶のソコに 当たる格好にさせた。 「……なお」 「今ので死ぬほど燃えました。責任取って下さいね」 言いざま、太い刀身を差し込んでくる。狭い入り口を無理矢理開かされ、その何とも言え ない感覚に、高耶は直江の背に爪を立てて耐えた。 「あぅ…! アァ……!」 「高耶、さんッ」 直江の目の前に、赤く色づく小さな実が二つ揺らめいている。 直江は顔を寄せるとその一つを口に含んだ。 「! アァ……!」 キュッと窄まった穴が、直江の雄を締め付ける。そのキツさに心地よさを感じた直江は、 高耶の実を口内で存分に転がしてやった。 「あぁ、…んっ! ん、……ふぅっ」 シャツの濡れた感触に、高耶の前が泣き出している事を知った直江は、高耶の腰を掴ん で思い切り揺さぶってやった。 「ヒッ! あぁ…んっ! …な、お! そ…んなに、したらぁ…!」 高耶が自らも体を上下させながら、耐えられないとばかりに抱きついてくる。男をくわえ ている部分はぐちゃぐちゃに濡れ、その卑猥さを物語っている。 「こう? こうするといいの?」 高耶の恥穴に指を持っていき、入り込んでいる周辺をなぞってやる。 「!」 胸元を口で愛され、後ろを男根と指で愛されている。そのめくるめく官能の渦に巻き込ま れ、高耶はたまらず歓喜の声を上げた。 「もぉ……、イく……!!」 「イッて! たくさん出して。……高耶さん」 「アァ……! なおぇぇ………! イくっ! イッちまう……!」 ギュッとしがみついてきたのと同時に、アソコが絞られた。高耶は壮絶な色香を振りまき ながら、天国の階段を駆け上っていった。 「ん……」 高耶は小さく身じろぐと、ゆっくりと瞳を開けた。 点けっぱなしのテレビから、バラード曲が流れている。メロディもさることながら、そのアー ティストの甘い声に思わず聞き入ってしまった。 (ここは……) ゆっくりと体を起こすと、体に掛けられていた毛布がずり落ちた。あっ、と思って手探り寄 せたところで今までの事を思い出した。 (そうだ、直江とヤッたんだっけ) ハッとして毛布を剥ぐと、体はすっかり清められていた。ハダカだったのがやや不満では あるが、とりあえず良かった。高耶は立ち上がると、側に畳んであった衣服を身につけた。 「直江のやつー」 服を着た高耶は、今更ながらカッカと怒った。 急がなくても、今日はその気分だったのに。 強引に事に至ってしまった事に腹が立つ。 (どうしてあいつはああなんだ。あいつはいっぺん躾直さねぇと駄目だな) 高耶はプリプリと怒ると、テレビの電源を落とそうとリモコンに手を伸ばした。けれど。 やっと 掴んだ もう二度と離さないよ I wanna love you forever 君のすべて 僕に預けて 永遠に…… 先ほどから流れている、男性アーティストの歌が妙に気になる。 高耶はかつて、強く抱きしめられながら似たような事を直江に言われた事があった。 ―――愛してます。高耶さん。もう二度と離さない。……二度と。 流行歌の歌詞なんて、安い宝石のようにどこにでも転がっている。 けれど、今、こんなにも胸に響くのはどうしてなのだろうか。 (直江……) 全く非のない人間なんて、この世のどこにもいない。 人を愛するという事は、相手の狡い所も醜い所も全て受け入れるという事だ。 (本当は、わかっている。今のおまえ全部ひっくるめてオレは好きだという事) (どんなおまえでも、「おまえ」だから、オレは好きなんだ) バラードの歌詞に、今の自分たちを振り返ってみた高耶は、唇に小さく笑みを掃いた。 聖なる日ぐらい、素直になってもいいかもしれない。きっと、神様も祝福してくれる。 ほら。窓の外がうっすらと白くなっている。 それはさながら、天からの贈り物のようであった。 music:Ryu |
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