| 総決算
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とうとう今年も、残すところあと3日である。 最近年をとったせいか、一年があっという間に過ぎる気がする。そう口にしたら、 直江に「あなたはまだいいですよ」なんて言われてしまった。年の話をしたのは、 少しまずかったかもしれない。 「な、なに言ってんだよっ。お前だって十分若いじゃねぇか!」 慰めるように言ってみたが、直江はジト、とこちらを見るだけで特に何も言わな かった。 そんなに気にしていたのだろうか。 少し心配になってしまう。 でも、自分だって「年だ」と感じているのだから、11歳も年が離れている直江 にとっては、もっと深刻に感じているのかもしれない。今後は注意して発言しよ う、そう思う高耶であった。 (けど、あいつ全然衰えてねーよな) 脳裏に浮かぶのは、夜の営みである。 すっかり直江に洗脳&開発されてしまった高耶は、あの時の事を思い浮かべても もはや照れない。 むしろ「もっとこうして欲しい」とか、「あれをやって欲しい」とか欲望は尽きないの だ。けれど、そんな事言えるはずもなく、高耶は一人悶々としているのだった。 (でも、いつまでもこのままなんてヤだよな。オレだって男なんだし) いつも受け身でいいものか、高耶は悩んでいた。男なら、ヤリたいと思うのが本 当だろう。それが直江を知ってからというもの、すっかり奴に任せきりになって いる。 (……よし! 決めたぞ!) 数分の熟考の後、高耶は決意すると急いで夕飯の後片づけに入った。 (今日はオレから、やってやる!) と、妙な気迫で食器を洗う高耶を、直江は不思議そうに見ていた。 直江が風呂から上がると、高耶は既にリビングにいなかった。 「もう寝たのか」 まだ23時を回ったばかりだ。 常の彼らしくない行動に、訝しく思いながらソファに座った。直江にしても、まだ 寝るには早い。ニュースでも見て時間を潰そう、そう思ったのだが、高耶が横に いないというだけで落ち着かない。 どうしたのだろう、高耶は。 いつもなら平気で0時過ぎまで起きている彼だ。そんな彼がこんなに早い時間 に寝床に就くというのは、直江を心配させるだけだった。それに―――。 直江は先ほどの高耶を思い浮かべた。 高耶は妙なテンションで食器を洗っていなかったか。 別に奇声を発したとかではない。けれど、いつもの彼とは何かが違っていた。そ れが何かはわからないが、長年連れ添った直江には、その「何か」を朧気に感じ 取ったのだ。 (もしかして、具合が悪かったのだろうか) 彼の事だ。直江に知られるのが嫌で、隠そうとしたのかもしれない。 (………あり得る) そう思った時には直江は立ち上がっていた。 「高耶さんッ!」 叫ぶと、直江は猛然と寝室へダッシュした。 バタン! と勢い込んでドアを開けると、高耶は既にベッドに横になっていた。 (やはり!) 瞬時に青ざめた直江は、飛びつくようにベッドまで進んだ。 「高耶さんっ! 高耶さんっ!」 頭まで被っている毛布を剥ぐと、赤い顔をした高耶が現れた。 (熱が……!?) 焦りながら額に手を当てようとする直江に、だが高耶はくるりと背を向けてしま う。 「高耶さん…?」 相当苦しいのだろうか。高耶は額に汗を滲ませながら、荒い息をついている。 尋常じゃない様子にとりあえず氷を……! と部屋を出ていこうとした直江を止 めたのは、高耶の掠れた声だった。 「なおえ……、ちがうんだ」 「……え?」 何が違うというのだろう。こんなに苦しそうにして。 不審に思って高耶を覗き込むと、潤んだ瞳で見上げてきた。 「なおえ……」 請われるまま顔を近づける。すると高耶の手が伸びて、直江の後頭部に回った。 「高耶さん?」 見れば、高耶は熱に浮かされたように顔を上気させている。荒い息をついている 唇は赤く濡れそぼっており、直江の欲望を刺激する。 「具合が悪い?」 心配になって尋ねると、高耶は緩やかに頭を振った。 「では…」 「おれ……」 高耶は切なげに眉を絞ると、いきなり直江を引っ張りベッドに押し倒した。 「―――えっ!?」 何が起こったのかと目を白黒させる直江に馬乗りになり、高耶は直江のボタンに 手を掛ける。 「た、たかや、さん……?」 このシチュエーションは、もしかしなくても……? だったら「棚からぼた餅」だが、 しかし、何故急に。 突然の豹変に直江は戸惑う。 だいたい高耶は具合が悪かったのではないのか? 改めて高耶を観察した直江は、自分の読みが外れていたことを知った。 (違う。高耶さんは、具合が悪いのではない。高耶さんは、) ―――欲情している! そう思った瞬間、直江の肝も座った。 高耶が何故急に豹変したのかはわからない。しかし、こんなおいしいシチュエー ション、直江が逃す訳がない。 そうこうしているうちにも、高耶は直江の衣服を脱がしていく。それもそのはず。 当の本人が抵抗しないのだから。 高耶は酷く興奮しているようだった。パジャマを着込んでいるからわからないが、 その衣服の下であそことあそこを勃てているに違いない。高耶の無意識の誘惑 に押し倒したくなるのを耐え、直江は高耶の行動を待った。 やがて直江の前をはだけさせた高耶は、折り重なるように体を重ねてきた。直江 の裸の胸に顔を埋め、うっとりと目を閉じている。 「高耶さん」 優しく髪を撫でると、高耶がうっすらと目を開けた。左手をあげ、直江の頬を撫 でる。その手はじょじょに下がり、直江の唇をなぞり始めた。 「高耶さん?」 ここにきて、また直江は不審を覚えた。 いくら自分から誘いをかけてきたとはいえ、何かおかしくないだろうか。 体は燃えるように熱いし、素直に身を任せるどころか娼婦のような真似をしたり。 感情のままに行動を移す高耶に訝しんで、注意深く観察した直江はある事実に気 がついた。 (! 高耶さんは…ッ) なぜそんな事をしているのかはわからないが、原因さえわかれば直江もノるだけ だ。 そうする事を、高耶も望んでいる。 促すように囁くと、高耶はゆっくり体を起こした。そうして自ら衣服を脱ぐと、直江の ズボンにも手をかけた。まだ柔らかいそれを手に取り、自分のと重ね合わせる。 高耶は直江の胴を跨いだ格好で、局部を扱き始めた。 「あ…あ、ぅん…!」 高耶のモノは既に堅くなり始めている。直江のモノも早く大きくしようと、高耶は 必死に指を駆使した。 「…は、あ…っ、直…江」 小さな穴から、白いものが滲み出てきた。高耶はそれを自分のモノと直江のモノ に絡みつかせると、より一層手の動きを早くした。 「…アっ…、アァっ…!」 ペニスが熱い。直江との接点部分に擦り付けるように腰を揺らめかせていた高耶 は、急に射精感がこみ上げてきて、直江が見ている前でイッた。直江の腹部が白 いもので汚れる。しかしそれには気を止めず、高耶は力の入らない手で体を支え ると、ゆっくりと腰を上げた。 直江のモノはまだイッてない。雄々しく天を向いている男根を鷲掴み、自分の秘 所に導く。 「高耶さん」 直江の息も荒い。あと少しでという所で秘所に導かれた。そのまま突き進みたい 衝動に駆られたが、高耶のソコはまだ解れてない。どうするのかと見ていると、 高耶は直江の先端に滲んでいる精液を、そこに宛い擦りつけ始めたではないか。 そのまま少しずつめり込ませ、徐々にその刀身を呑み込んでいく。 「ん…ん、……っ」 恥ずかしい場所を惜しげもなく晒しながら、高耶は直江を受け入れる。綺麗に沿 った胸には、赤い実が立ち上がっていた。 「あ…! …あ、ん…っ」 高耶は直江に見せつけるかのように、足を開いている。一度イッて萎んでいたは ずのペニスは立ち上がり、卑猥に立ち上がっている。その下の柔らかい二つの実 も、直江を迎え入れている恥部も、直江には丸見えだ。何度目かわからない衝動 がこみ上げてきたが、直江は必死に堪え、高耶のしたいようにさせた。 今日の高耶はかなりヤル気モードだ。そうなるように自己暗示をかけているよう だが、それにしても凄い。 普段なら恥ずかしがってしない体位なのに、自らしているし、何よりも煽りが凄 い。これでもかというぐらいの媚態に、直江の理性は焼き切れる寸前である。 (高耶さん…!) いつもだったら、彼を組み敷いて、思う様鳴かせている頃合いだ。しかし今日は ……。 受け身とはいえ、主導権を握っているのは高耶だった。直江はただ寝ているだけ。 出し入れもグラインドも全て高耶がしているのだ。 (高耶さん…。最高だ………) 腰間のモノを雄々しく立ち上がらせ、高耶は腰を振る。 漏れ出る嬌声がたまらない。自らの意志でいいトコロを探しだしたのか、同じ動 作を何度も繰り返している。そうして思う様快感を貪っていた高耶だったが、直 江が弾けたのと同時に自分も射精していた。 収縮する襞が直江をやわやわと締め付ける。 直江を跨いだ状態で暫く高耶は放心していたが、興奮が収まると体を倒して直江 の上に横たわった。 「な、おえ……」 熱い息が直江の喉元を擽る。 直江は高耶の顔を引き寄せると、赤く濡れた唇に自分のそれを重ねた。 「ン、……んっ」 「どうしたの? 今日は」 ペロ、と高耶の唇を舐めながら言うと、高耶はうっすらと頬を赤らめた。 (おや?) どうやら暗示が切れかかっているらしい。今更ながら照れ出した高耶に、直江は 優しく笑んだ。 「べ、べつに…」 そう言って顔を伏せてしまう高耶。項まで真っ赤である。そんな高耶とピッタリ くっついている直江は、だが胸中穏やかではない。たった今高耶の中に放ったば かりだというのに、また入りたいという欲求が生じ始める。 直江は高耶の臀部に腕を伸ばすと、左右から割れ目を押し開いた。 「!」 驚いた高耶が顔を起こすが、直江はやめない。 割開いた部分に指を当て、先の方をめりこませる。 「―――あっ! あぁ…っ!」 直江の指が、潤んでいた秘所に入ってくる。今まで堅く太いモノを入れていた高 耶にとっては、それはとても焦れったいものだった。 「あん……あッ、ゃ……ッ」 高耶の甘い声が、すぐ下で聞こえてくる。それに興奮して指を深く突き刺すと、 高耶は焦れったげに体を揺すり始めた。 「直江―――直江ぇ……っ」 直江の指をめり込ませた高耶は、物足りなさから顔を歪めている。 娼婦のように股間を擦りつけ始めた高耶に、直江は一層指の動きを激しくした。 「あ、ぁん!」 イイところに当たったらしい。 直江に擦りつけている部分が濡れたのに気づいた直江は、高耶が感じたトコロを 何度も何度も突いてやった。 「ふ、ぁ……、もォ…」 それだけ言うと、高耶は気を失ってしまった。
「それで、一体なんだったんですか?」 浴槽に浸かったまま肩に湯をかけてやると、高耶が気持ちよさそうに息を吐いた。 散々ヤッたせいで、あちこちベタベタである。とても一人では動けそうにない高耶 を抱いて、ここまで運んだのは直江だった。 「んー…」 生返事をしてそのままウトウトし始める高耶。 普段だったらそんな高耶を見て『可愛い』で済むのだが、今日は違う。 高耶の不可解な行動を問いつめなくては、気になって眠れそうにない。 「高耶さんっ、高耶さん…っ。ほら、起きて」 それでもくた〜と直江に凭れかかる高耶に、奥の手を使うことにした。 「高耶さん」 「!」 いきなり高耶が飛び跳ねた。 「バッ…! おまっ、どこ触って……!」 「教えて」 にっこり微笑まれて白旗を上げる。高耶は自分のモノから直江の手を離させると、 「や、……だからさ。今年ももう終わりだなーって」 「?」 「だから……、一年に一回ぐらいはよぉ……」 そう言って顔を赤らめる高耶に、直江は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした。 「それは嬉しいですが……、何も暗示をかける事はないでしょう?」 呆れながら言うと、高耶は赤い顔のまま怒りだした。 「うっせぇな! 別にいいだろ」 「……こんな事に使うために、私たちの能力がある訳では……」 いつになく正論を言う直江に高耶はプッツンきた。 「なんだよッ。お前、嬉しくなかったのか!?」 「う、嬉しいですよ。ですが……」 「だったらいいだろうが」 《恥ずかしくて素面(?)でなんていられるかっ》 突然響いた思念波に、直江は目をパチクリさせた。 「……愛してますよ、高耶さん」 そんな恥ずかしいことを、自分の為にしてくれたのか。 嬉しくなった直江はちゅっ、と頬にキスを仕掛けた。 途端に高耶がギッとにらみ付けてきたが、今の直江には効かない。 ニコニコと幸せそうに笑う直江に毒気を抜かれ、高耶も表情を弛める。 男同士で少し不毛な気もするけど、これで幸せなんだからいいだろう。 高耶も微笑むと、自ら唇を寄せた。 愛の言葉と共に。 |
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